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イムノクロマトグラフィ法*1による抗原検査キットは抗原を簡便かつ迅速に検出できる。抗原の数が少ない場合でも走査電子顕微鏡(以下SEM: Scanning Electron Microscope)を用いれば、抗原に結合した金属マーカー粒子を直接観測できるため高感度な検査が可能にはなる。しかし、この方法には煩雑な作業や時間を要するという課題がある。ここで、SEMの原理とアプリケーションを研究開発する日立製作所 研究開発グループの2人が「卓上型SEMを用いた抗原検査の高感度化システム」を開発した。これにより、画像処理によって、SEMによる撮像位置を自動で認識し、判定ライン上の金属マーカー粒子数とバックグラウンドノイズと見なす判定ライン外の金属マーカー粒子数を統計的に比較評価できる。手動操作は排除され、検査時間が短縮し、かつ安定性を向上させた高感度な抗原検査が可能となった。本システムは抗原検査に限らず幅広い分野への応用が期待できるという特徴も併せ持つ。丹藤 匠リーダ主任研究員、三羽 貴文主任研究員に開発の経緯や将来性を聞いた。

*1 イムノクロマトグラフィ法:検出対象の抗原を検出するための技術であり、抗原検査キットに利用されています。この方法では、抗原とともに抗体付きマーカー粒子を、抗体で修飾された検査ラインに吸着させます。採取した試料中に対象とした抗原が含まれる場合はマーカー粒子が検査ラインの色を変化させるため、色の変化から試料中に抗原が含まれるかどうかを判定できます。

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