パンデミックがもたらしたもの

森田:以前から不確実性の時代と言われてきましたが,新型コロナウイルスの影響により一足飛びに10年後,20年後の社会へ突入した印象です。その中で昨年秋には菅政権によって「2050年カーボンニュートラル宣言」が表明され,私たちは今,自らが望む未来を築くための岐路に立っていると言えます。

そこで本日は日立の社長・会長在任時に世の中に先駆けて社会イノベーション事業というコンセプトを提唱され,その後も財界トップとして多くの企業をご覧になり,このほど東京電力ホールディングス会長をご退任された川村隆さんに,現在の社会状況をどのように捉えるか,また企業はそれにどう対応していくべきか,そのヒントをお伺いしたいと思います。まずは今回の新型コロナウイルスの感染拡大について,このパンデミックが世界・社会にどのような影響をもたらしたとお考えでしょうか。

川村:今回のパンデミックは実にさまざまな悪影響を社会にもたらしています。人間の死や重症化といった生命や健康に対する直接的な被害はもちろん,企業経営の面から言えば,「人・モノ・カネ・情報」という経営資源のうち,「人」が国を越えて自由に移動できなくなり,それによって「モノ」の流れ,「カネ」の流れが滞り,経済の血液と言えるそれらの動きが一斉に止まったことが最大の弊害だと言えるでしょう。そのために多くの企業が直接的・間接的なダメージを受け,経済全体が苦境に陥っています。経営資源が自由に動き回ることで世界的分業体制を築いて発展してきたわけですから,それらが止まった状態が今後しばらく続くというのは非常に大きな問題です。

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